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連載企画 今月のテーマ「美景探訪」海と森の楽園・小笠原諸島
現地リポート 2013年1月8〜13日取材 旅のアルバム帳 世界遺産の島を探検!生命あふれる小笠原へ

「旅の友」東日本版新年号に掲載。
※中部・東海版、西日本版は、記事内容が異なります

旅の友web版3月号

「旅の友」Web版3月号

旅のアルバム帳 2013年1月8日〜13日取材

世界遺産の島を探検!生命あふれる小笠原へ

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長崎展望台からの絶景を背に一枚。さえぎる
ものなく青い海を一望できるスポットです

2011年、ユネスコ世界自然遺産に登録された小笠原諸島。有史以来、一度も大陸と地続きになったことがなく、さらに1830年代まで無人島であったことから、この島にしかない固有種が多く残っています。今回は小笠原で最大の島「父島」に渡り、海と森、両方のスケールを体感する6日間の旅をリポートします!

小笠原諸島特集

1日目 「おがさわら丸」で小笠原・父島へ出発!

現在、本島から小笠原諸島へ渡る手段は、東京・竹芝桟橋と父島・二見港を結ぶ定期船「おがさわら丸」のみです。その距離は約1000キロ、時間はなんと25時間30分!東京湾から見える街並みやレインボーブリッジに別れを告げ、太平洋の大海原を進んでいきます。

見送られながら竹芝桟橋を出港する
「おがさわら丸」

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2日目 父島に到着&昼と夜で違う魅力を体験

島ならではの名物に舌鼓

正午、旅仲間たちは父島に到着。昼食は各自で自由に楽しみました。父島の名物は漬けマグロの寿司「島寿司」や日本で小笠原しか漁が行われていないというウミガメの料理。「亀の煮付け」を食した西村千枝子さんは「魚とも肉ともいえない不思議な味。でもさっぱりしていておいしい」とのこと。普段はなかなか食べられない島ならではの味を満喫していました。

●初めての亀料理に挑戦する西村千枝子さん(左)と橘召子さん(右) ●父島名物・島寿司

人気の展望台で父島の絶景を堪能

次は三日月山頂上にある展望台へ。ここは島の人々にも人気の場所で、父島の西側の海が視界いっぱいに広がり、すぐそばに浮かぶ西島を望むことができます。キラキラと輝く海面を眺めていると、「見て、あそこ!」という声。指差す方向に見えたのは、なんとクジラの潮吹き!至近距離とはいきませんが、海面に霧が上がっているのが肉眼ではっきりと見えました。「まさかこんな山の上でクジラが見られるとは思いませんでした」と、宮内康明さんも笑顔。小笠原の海の豊かさを早くも感じるひとときでした。

●三日月山展望台から西島と青い海原を望みます ●展望台へ続く道もすばらしい眺め ●クジラを見つけて歓声が上がります

夜の生き物たちと出会うナイトツアー

夜は自由行動。「旅の友」編集部は夜行性の生き物たちに出会う「ナイトツアー」にご一緒しました。暗闇に包まれた小港海岸では、天然記念物の「ムラサキオカヤドカリ」を、木々が生い茂る亜熱帯農業センターでは同じく天然記念物の「オガサワラオオコウモリ」を発見。天然記念物を間近に見るという貴重な体験に、旅仲間たちからも感動の声が上がっていました。

●ガイドと一緒にナイトツアー。コウモリが食べた実の殻があちこちに落ちています ●丸い目を光らせるオガサワラオオコウモリ ●夜の海岸に姿を現すムラサキオカヤドカリ

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3日目 クジラが暮らす雄大な海へ

美しい海でザトウクジラ・ウォッチング

昨日展望台から見たクジラをぜひ間近で……と期待を膨らませながら、旅仲間たちはボートに乗り込み、沖へと向かいました。冬から春にかけてのこの時季、小笠原では繁殖のためにやってくるザトウクジラの姿を見ることができます。クジラは海に深く潜る際、海面に「リング」と呼ばれる丸い跡を残すため、この「リング」がたくさんある場所は、クジラが近くにいる証拠です。ボートのエンジンを止め、慎重に進み始めた瞬間、「いた!あそこだ!」との声。左から右へ、霧を上げながら移動し、最後には黒い大きな背中がザブン、その後を小さな尻尾が潜っていきました。船長によると、母子のザトウクジラとのこと。「一瞬だったけど、仲良しの姿がちゃんと分かったよ」とクジラを楽しみにしていたという結城勇夫さんも大興奮の様子でした。

●父島の南西にある無人島「南島」の
珍しい地形を海から観賞 ●シュノーケリングで魚たちとのふれあいを楽しむ結城勇夫さん(左)と堀内雅英さん(右)

じっと海面を見つめながらクジラを探す旅仲間たち 海上にザトウクジラの尻尾が見えます

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4日目 豊かな森で希少な植物と出会う

ガイドと一緒に島の「世界遺産」を散策!

島滞在3日目は陸の大自然へ。生態系保全区域の入林資格をもつガイド・吉井嘉子さんと一緒に、珍しい植物を探しに出かけました。向かったのは世界遺産地区の森「サンクチュアリ」。一歩森に足を踏み入れると、「あの脇に生えている木は、固有種のマルハチ。その下にある白いじゅうたんのようなコケが、ムニンシラガゴケ。これも固有種です」と吉井さんが説明するように、そこは固有種のオンパレード。どれも島の独自の生態系に合わせて進化した植物です。「この島で生きるために進化したのが形ではっきり分かって面白いですね」と、橘召子さんも熱心にメモを取りながら、ガイドの話に耳を傾けていました。

●幹の模様が特徴的な「マルハチ」 ●乾燥した土地にも生える「シマイスノキ」。触ると葉が肉厚なのが分かります

●幹の模様が特徴的な「マルハチ」 ●巨大なシダ植物が生い茂る小港海岸

コラム 天然記念物「アカガシラカラスバト」

「聖域」を意味するサンクチュアリは固有種の宝庫

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5日目 出港まで魅力あふれる風景がある小笠原

最終日は島の絶景を見納め

5日目の出港までは自由行動。「旅の友」編集部は、最終日も元気に歩く旅仲間と一緒に、父島北部の旭山へ向かいました。いたるところに生育する固有種の植物を観察しながら山道を登り、標高267メートルの山頂に到着!良い汗をかいた皆様は涼しい風を浴び、眼下に広がるコバルトブルーの海を名残惜しそうにずっと眺めていました。

「おがさわら丸」の汽笛が鳴ると、いよいよ父島ともお別れの時間。港では島中の人々が集まり、太鼓の演奏で見送りをしてくれます。船が港を離れてからも、ボートで追いかけながら「行ってらっしゃい!」と声をかけてくれる島の皆さん。それに手を振りながら「ありがとう、行ってきます」と笑顔で応える旅仲間たち。別れのときも「さようなら」と言うのが惜しい、そんな魅力がある父島での旅を終え、再び船で約1日、東京への帰路につきました。

旭山山頂から望む海のパノラマ

見送りの太鼓の演奏と船のデッキから手を振る旅仲間たち

二見湾沖までボートで追いかけながら見送ってくれる島の皆さん

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