クラブツーリズム・スペースツアーズ > 安全性と利用技術の特長
ヴァージン・ギャラクティック社と、30年の歴史を持つ航空宇宙分野の設計製造会社、スケールドコンポジット社は何よりも安全性が最優先であると考えてきました。1990年より、ヴァージン・ギャラクティック社は沢山のタイプの宇宙船について研究してきましたが、2002年、スケールドコンポジット社(バートルタン社長)が開発した宇宙船「スペースシップ1」に出会うことができました。その設定思想のひとつは安全運航につながる「単純性」にあり、次のような特長があります。
商業運航で使われる宇宙船「スペースシップ2」は、高度約15キロの地点から航空機より空中発射されます。今までの宇宙船は陸上からロケットで打上げられてきましたが、これは、大気中を通り抜けるために沢山の燃料を使いロケットエンジンを噴射させ、高速で上昇させる必要があり、そのために重く長い胴体も必要でした。
バートルタンは、計算により、大気が非常に薄い状態になる高度15キロでの空中発射が最も安全で効率的であるという結論を出しました。この方法によると、ロケットエンジンの噴射時間が最少で宇宙に行くことができ、仮にロケット噴射中に問題が生じても、エンジンをシャットダウンし、宇宙船はグライダー飛行で元の滑走路に戻ってくることができると考えたのです。
スケールドコンポジット社は、その社名も示すように、カーボンコンポジット(炭素複合材)などを使ってあらゆる航空機を製造してきましたが、宇宙船「スペースシップ2」、母船「ホワイトナイト2」も例外ではありません。「ホワイトナイト2」は同材料を100%使用したものとしては世界最大の航空機となります。この材料は、鋼鉄の4倍の強度がありながら、4分の1の重さ、しかも半永久的な耐久性があります。さらに、加工しやすいので「スペースシップ1」のテスト飛行段階で機体の改造などを行うことができました。この炭素複合材の宇宙船への利用は、安全面から考えてもこのプロジェクトの重要なキーポイントとなるものです。
ロケットは空気がないところで燃焼するために酸化剤を備えなければなりません。それは基本的には大きく2つのタイプに分かれます。液体燃料ロケットと固体燃料ロケットです。液体燃料ロケットは液体水素と液体酸素を混合して使い、推進力があり、操作性もよく、途中で止めることもできますが、複雑なシステムとなり、製造コストも高いものになります。
一方、固体燃料ロケットは、燃料と推進剤が混合された固形物が使われ、花火のようなものであると言えます。とても単純な設計ですが、問題は、その燃焼を途中で止めることはできないということにあります。そして、第3のタイプがハイブリッドロケットモーターです。固形燃料と液体の推進剤を使い、途中でシャットダウンできるという特徴があります。これが「スペースシップ1」で使われ、同機を宇宙にまで運んだ実績をつくり、後続の「スペースシップ2」でも同様に使われることになりました。緊急時には、パイロットがロケットをシャットダウンし、グライダー飛行で機体を無事に帰還させることができるのです。
おそらくこの宇宙船の安全に運航するための最も革新的な技術は、全行程の中で危険性が最も高いと言われる大気圏突入時の「フェザリンク」というユニークなしくみです。これは設計者のバートルタンが生み出した、宇宙船がバトミントンの羽のような形で降下するシンプルな降下方法を指します。
具体的には、大気圏突入時にスペースシップ2の尾翼が約65度に立てられることにより、自動的に機体が水平の姿勢を保ち、降下を強めていきます。これによりパイロットは余裕を持って機体の操作を行うことが可能となります。この急降下の促進と機体の軽量化により、大気圏再突入時の機体の表面温度は、従来の宇宙船のように高くはなりませんので、耐熱シールドなども必要なくなります。
高度約21キロまで降下すると、尾翼は通常の角度に直り、出発した宇宙港の滑走路にグライダー飛行で戻ってきます。
このコーナーは、ヴァージン・ギャラクティック社のホームページ(英語)内の安全性などについての情報を要約して作成しました。