現地リポート「若狭…”海のある奈良”の御仏」│「旅の友」web版【中部・東海版】 │クラブツーリズム

クラブツーリズム TOP＞「旅の友」Web版【中部・東海版】＞ 現地リポート「若狭…”海のある奈良”の御仏」

リポート

アルバム

「旅の友」中部・東海版9月号に掲載。
※東日本版、関西版は、記事内容が異なります

旅の友の商品はこちら
寺社仏閣めぐりの特集ページはこちら

連載企画　若狭…”海のある奈良”の御仏

大陸から都への海の玄関口として栄え、仏教文化が広く伝わった地・若狭。現在も小浜市には数多くの寺が残り、”海のある奈良”と称されます。十一面観音像を訪ね歩き、その奥深さを綴った随筆家・白洲正子の著書『十一面観音巡礼』にも記された羽賀寺の十一面観音立像をはじめ、息を呑むほど美しい御仏をご紹介します。

高野山真言宗鳳聚山羽賀寺

女帝の姿を写した美しさと気品を持つ十一面観音立像　今から約1300年前、奈良時代初期の霊亀2年（716年）、この地に鳳凰が舞い降り、２枚の羽を落としていった幸運を慶んだ女帝・元正天皇に命じられ、僧・行基が開山したのが始まりとされています。そこから「鳳聚山（ほうしゅうざん）」との名前が付けられました。桧皮葺の入母屋造りの本堂に安置された御本尊の十一面観音立像は、行基が刻んだものだといわれます。白洲正子も「大きな眼と、気品の高い唇、細くのびた指の美しさ…こんなに若々しい観音様を私は見たことがない」と記しています。長い間、秘仏とされてきたため、造立当初の鮮やかな色彩が今も残されています。

十一面観音立像　11の面、左手に水瓶を持った観音様。女帝・元正天皇の姿を写した像だといわれ、比類なき美しさと気品を讃えています。

二十四面千手観音立像　1000本の手と24の面を持つ珍しい観音様。長い間、秘仏とされていたため、今も黄金色の美しい姿を見ることができます。

1000本の手と24の面が美しく配された二十四面千手観音立像　養老3年（719年）に行基が御本尊を彫り、延暦16年（797年）に空海によって堂舎が建てられたといわれる古刹。若狭最古の建造物でもある寄棟造桧皮葺の本堂は、鎌倉時代初期に建立されたもので、国指定重要文化財でもあります。堂内に安置された御本尊の二十四面千手観音立像は、平安中期作といわれる桧材の一木造。24の面と、42本の腕とその間の小さな腕が整然と美しく配された珍しい観音様です。さらに、木造聖観音菩薩立像をはじめ、木造地蔵菩薩坐像など、福井県指定の有形文化財も多く所有しています。また、初夏には新緑が、秋には紅葉が参道を美しく彩ります。

高野山真言宗妙楽寺

真言宗御室派棡山明通寺

緑深い山中の古刹で出会う御本尊の薬師如来像ときらびやかな釈迦三尊坐像真言宗御室派棡山明通寺　大同元年（806年）、天下泰平、諸人安穏を願い、坂上田村麻呂によって創建されました。かつてこの山中にあった棡樹（ゆずり木）を使い、薬師如来、降三世明王、深沙大将の三体を彫って安置したといわれ、「棡山」の名が付けられています。鎌倉時代中期に建てられた桧皮葺の入母屋造りの国宝・本堂にある像高1.34ｍの御本尊・薬師如来坐像は、国指定重要文化財でもあります。また、高度な建築技術を駆使して造られた重厚で優美な屋根を持つ国宝・三重塔は、鎌倉建築を代表する建造物。内部に安置された釈迦三尊坐像は通常非公開ですが、今回クラブツーリズムのみにご開帳されました。