夏から秋にかけてのお出かけシーズン。千葉県鴨川市は迫力満点の水族館から絶景スポット、おいしいグルメまで、家族みんなが楽しめる街。中でも地元の人にとって鴨川シーワールドは、子どもの頃から何度も訪れる“思い出の場所”。また、鴨川を観光するなら海だけではなく、山側へも少し足を伸ばしてみると素敵な場所とめぐり会えます。
ということで今回は、鴨川大好きの筆者が地元民ならではの目線で鴨川をご紹介したいと思います。
1.家族で楽しむ王道の鴨川。日本初の挑戦から55年。シャチと歩んできた鴨川シーワールド、通称「鴨シー」
シャチと歩んできた勝俣浩館長
まずは「鴨川市といえば!」でおなじみの場所から足を運んでみることにしましょう。はじめにご紹介したいのは、地元民から「鴨シー」と呼ばれ親しまれている鴨川シーワールド!青空の下でシャチのパフォーマンスを楽しめる水族館です。しかし、その魅力は迫力あるパフォーマンスだけではありません。
鴨川シーワールドの館長・勝俣さんと実際にお話してみたところ、「1970年の開業当初から日本で初めてシャチの飼育に挑戦し、その歴史の多くをシャチとともに歩んできた」と熱く語ってくださいました。
遡ること1998年には日本初となるシャチの繁殖にも成功。ただ、そこへ至るまでには飼育設備の改良や試行錯誤もあったそうです。「正しい環境で生き物を飼育すること」にこだわり、長年積み重ねてきた努力が実を結んだのだと実感したと言います。
現在はシャチだけでなく、日本初導入から9月で50周年を迎えるベルーガなど、それぞれの生き物が安心して暮らせる環境づくりにも力を入れているそうです。
「動物を大切にしていることが来館者にも伝わる水族館でありたい」
そんな館長の言葉からは、エンターテインメントだけではない、命と真剣に向き合う「鴨シー」の姿勢が感じられます。
賢くて「飽きっぽい」?シャチたちの素顔
ダイナミックなジャンプを披露するシャチ
ちなみに、一見すると完璧にパフォーマンスをこなしているシャチですが、実はとても賢く、かつ飽きっぽい一面もあるそうです。
勝俣館長によると、同じ内容のパフォーマンスが続くと「自分で楽しいことを探し始めてしまう」 こともあるため、パフォーマンスの内容に変化をつけ、ご褒美を魚だけでなく、撫でるなどの行動や氷、ゼリーにするなど、シャチが飽きない工夫を続けているそうです!
迫力あるパフォーマンスの裏側には、シャチもトレーナーも楽しめるよう、さまざまな努力が詰まっているんですね。
閉館後にはスペシャルなシャチパフォーマンスも!
そして「鴨シー」の注目イベントといえば、2026年9月の週末に開催される、閉館後のシャチパフォーマンス『Special Night with Orca』です。
このときにしか見られない特別なシャチパフォーマンスとなっていて、季節によって日の入り時刻が異なる鴨川市ならではの空模様を背景に、シャチのダイナミックなジャンプや迫力ある姿を見ることができるとのこと。これは一見の価値ありです!
夜でも迫力満点のジャンプ
鴨シーで見つけたお土産
鴨シーならではの、かわいいお土産
お土産コーナーで見つけたのは、シャチの形をしたサクサクのクッキーと、ベルーガのパッケージに惹かれた塩チョコ味のラングドシャ。見た目が愛らしいだけでなく、味もとっても美味しくて、鴨川を訪れた際のお土産にぴったりです。
海の幸、山の幸の宝石箱!おらが丼でランチ
鴨川のご当地グルメといえば、新鮮な海の幸・山の幸を味わえる「おらが丼」です。
「おらが」とは「我が家」という意味。それぞれのお店が地元食材を使い、海鮮や肉料理、創作丼など、お店ごとに個性溢れる一杯を提供してくれます。
ちなみに「おらが丼」は2005年に商工会食文化研究会の働きかけによって誕生しました。作り手には必ず守らなければいけない4つのルールがあります。
①鴨川ブランド米「長狭米(ながさまい)」をはじめとした地元食材を主役にすること
②旬の食材を取り入れ、季節感を大切にすること
③健康を意識した商品づくりを心掛けること
④良い食材の入荷がなければ、その日は欠品であっても致し方なし
各店舗ではこの共通ルールがあって、素材へのこだわりも徹底。現在は商工会加盟24店舗で、和・洋・中と工夫を凝らし、それぞれ個性あふれる「おらが丼」が楽しめます。今日はどのお店に行こうかな?と迷う時間も、鴨川散歩のいいところです。
2.海だけじゃない、自然と絶景の鴨川。
絶景の四方木不動滝で四季を楽しもう。
次に訪れた鴨川市四方木地区にある「四方木不動滝(よもぎふどうだき)」は、房総半島を代表する滝のひとつ。木々に囲まれた遊歩道を進むと、滝の水しぶきとひんやりとした空気が迎えてくれます。夏でも涼しく、自然の音に耳を傾けながらゆったりと過ごせる癒しのスポットです。
滝の近くまで歩いて行くと、迫力ある水の流れを間近で楽しめます。滝のそばには不動尊が祀られており、古くから地域の人々に親しまれてきました。
海のイメージが強い鴨川ですが、海だけでなく、豊かな山の自然が楽しめるのも鴨川ならではの魅力です。
ちょっと足をのばして・・・水面に映る紅葉にうっとり。「紅の里」で秋を満喫!
四方木不動滝と併せて訪れたいのが、秋の紅葉名所「紅の里」です。
園内にある錦沼の水面が色鮮やかな紅葉が映る様は、まるで"逆さ紅葉”のよう。幻想的な景色の中で、ゆったりとした時間の流れを自然とともに感じることができます。
普段は近隣住民の私有地のため立ち入りは制限されていますが、紅葉シーズンやイベント時には解放され、水上デッキやお茶会、いかだ体験などが楽しめます。
次はやっぱり海!海水浴や釣りなど、島をまるごとエンジョイ
鴨川は、いろいろな海の楽しみ方を持つ町だと感じています。その中でも、特に珍しいのが仁右衛門島(にえもんじま)。
千葉県で唯一、一般客が渡れる有人島であり、1935年に千葉県指定名勝にも選ばれた景勝地で、新日本百景の一つとしても知られています。
島を代々守り続けてきた平野家の島主が「仁右衛門」を名乗っていたことから名付けられた、歴史ある島です。
島へは手こぎの渡し船で約5分。昔ながらの風情を感じながら島へ向かいます。
島内には美しい海岸や豊かな自然が広がり、散策はもちろん、磯遊びや釣りも楽しめます!
さらに、源頼朝が身を隠したと伝わる洞窟や、歌人たちが仁右衛門島の四季を詠んだ句碑など、歴史感あふれるスポットも。
ほかにも、四季を通して花が絶えない金銀針茄子(きんぎんはりなす)という珍しい植物が自生するという自然豊かな環境は、のんびりと散策したくなる場所です。
緑のトンネルを抜け、魚見塚展望台の絶景へ
女神像「暁風」が恋人たちを見守る
仁右衛門島を一望するなら、ぜひ立ち寄ってほしいのが「魚見塚展望台」です。
駐車場から続く遊歩道は、木漏れ日が差し込む緑のトンネル。
まるで物語の世界に迷い込んだような雰囲気で、毎回ここを通るたびにワクワクします。
展望台からは鴨川の街並みと海に浮かぶ仁右衛門島が視界いっぱいに広がります。
「誓いの丘」と呼ばれるこの場所は、南京錠に願いを込める恋人たちのパワースポットとしても知られています。
魚見塚展望台からの絶景
3.歴史と祈りに触れる鴨川。
日蓮聖人の聖地があるのも鴨川市!
誕生寺の本堂
鴨川を訪れる際に必ず立ち寄ってほしいのが日蓮宗の開祖・日蓮聖人の誕生地として1276年に創建された「誕生寺」です。
日蓮聖人の誕生を祝って鯛が海面近くまで集まったという伝説が今も語り継がれ、境内には歴史ある祖師堂や本堂が立ち並びます。
さらに近年は、若い世代にも気軽に訪れてもらえるよう、門前茶屋「蟻ヶ鯛(ありがたい)」や新たなお土産づくりなど新しい取り組みも進行中。さっそく歴史と新しい魅力が共存する誕生寺に行ってみることにしました。
「みんなが幸せになること」が僧侶の務め
誕生寺の住職・矢嶋さん
誕生寺では住職の矢嶋さんとお話しすることができました。中でも印象的だったのは、「世界平和も大切だけれど、その前に一人ひとりが幸せになることが大切。」という言葉。
4年前、心筋梗塞で生死の境をさまよった経験を経て、「助かった命で誕生寺を守ることが自分の役目」と感じたそうです。住職の穏やかな人柄とまっすぐな思いは、お寺全体の温かな雰囲気を作っているのだと感じます。
境内にできた門前茶屋
蟻ヶ鯛の「誕生寺焼き」
「おいしいものを食べると幸せになれる!」
住職の発想から誕生したのが、和カフェスタイルの「門前茶屋 蟻ヶ鯛」。
「若い世代にも手に取ってもらえる新しいお土産を」と、門前茶屋で販売する「誕生寺焼き」の提供もスタートさせました。「誕生寺焼き」は、住職たちもアイデアを出しながら味を研究。
最初は粉っぽかったというベビーカステラも、何度も試作を重ねるうちに、今では住職のお孫さんが取り合うほどの人気商品になったそうです!
パワースポットは"空気"
門前茶屋のほうじ茶ラテと誕生寺のロゴ"ありがたい”ステッカー
誕生寺を訪れたら、ぜひ深呼吸も忘れずに!!
住職によると、この一帯は空気が非常に澄み、希少な生き物が生息するほど自然豊かな環境なのだそう。
「800年前、日蓮聖人が吸っていた空気と変わらない」
そんな言葉を聞いて、澄んだ空気を胸いっぱいに感じながら美味しいお茶と誕生寺焼きでほっとひと息。心がじんわりと満たされる時間です。
誕生寺からスグ!「鯛の浦」を遊覧船で巡る
餌に食らいつく鯛
晴れた日におすすめしたいのが「鯛の浦」の遊覧船です。
沖合へ出ると、天然記念物のマダイが集まる神秘的な光景に出会えます。
船上では下からマダイが一生懸命餌を食べようとする迫力の姿に、子どもの頃はびっくりした記憶もありますが、今は思わず応援したくなるような…不思議な感覚になり、思わずほっこり。
遊覧中は、船内アナウンスで鯛の浦の歴史や成り立ちを聞くことができるほか、海上からは大弁天・小弁天も間近に望むことができ、古くから漁師が航海や大漁を祈願してきた神聖な場所なんだなと改めて納得しました。
さらに、待合所にある鯛の浦について学べる資料館も必見で、より深く鯛の浦を知ることができます。最近では誕生寺とのコラボで御朱印も販売されています。集めている人にはコレクションを増やすチャンスですね。
※鯛の浦遊覧船は一人から乗船できる「不定期遊覧船」で、予約は必要ありません。
鴨川人気の「鯛せんべい」を召し上がれ♪
亀屋本店の鯛せんべい
鴨川には昔から日蓮聖人ゆかりの「鯛せんべい」という銘菓があり、老舗の「亀屋本店」では鯛をかたどったせんべいが売られています。上質の小麦粉・砂糖・卵を使って鯛の姿を作り、独特の技術で大鯛の跳躍を表現したせんべいは、お土産にもちょうどいいですし、わが家では昔から家族みんなの大好きなおやつ。ふんわり優しい味に包まれます。
何度でも訪れたくなる鴨川へ
鴨川は、海だけではなく、歴史や自然、グルメまで楽しめるのが魅力です。
シャチの迫力に感動し、誕生寺で歴史に触れ、遊覧船で神秘的な鯛の浦を巡り、ご当地グルメや自然豊かなスポットで心も体もリフレッシュ!
季節ごとに異なる表情を見せる鴨川は、何度訪れても新しい発見があります。次のお出かけは、ぜひ鴨川で思い出に残る特別な時間を過ごしてみてくださいね。
※本記事で紹介している内容は、2026年6月時点の情報をもとにしています。最新情報は各施設・公式サイト等をご確認ください。掲載写真は許可を得て撮影したもの、またはイメージ画像です。
おすすめスポットを教えてくれた人
旅が大好きで、これまで世界各国や日本のあちこちを巡ってきました。東京生まれの私が結婚を機に鴨川へ来て30年。当初は友達もおらず、海と山しかない環境に戸惑いもありました。しかし、子育ての中で鴨川シーワールドのシャチに癒やされ、大山千枚田の自然に触れ、海外からのホームステイ客にお寺を案内するうちに、鴨川の豊かな魅力にどんどん惹かれていきました。そして子育てがひと段落した今、ずっと夢だった添乗員の仕事(フェローフレンドリースタッフ)に挑戦しています。魅力あふれる大好きな鴨川へ、ぜひたくさんの方に遊びに来ていただきたいです。そして、これからもみなさんがおすすめする素敵な場所へたくさん旅をしていきたいと思っています。
この記事を書いた人
ガイドブックには載っていないような地域の魅力を見つけることが好きで、趣味はお寺や美術館巡り。訪れた場所を歩く中で発見した街の物語や地元ならではの楽しみ方、実際に歩いて感じた地域の空気感のほか、旅先で出会った人々の想いをお届けします。