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クラブツーリズム TOP>「旅の友」Web版【東日本版】> 科学で旅はもっとおもしろい。 第8回 音の振動
探究心や好奇心は、いつも胸に抱いていたいもの。
旅のあれこれを科学的にひも解いて、旅をもっと楽しもう。
夜、電車や車の音がやけに遠くから聞こえてくると感じたことはないだろうか。
昼間に比べて雑音がなく、静かだからと思うかもしれないが、理由はそれだけではない。
音は、空気や水などの仲介物が振動して、私たちの鼓膜に届くことで「音」として認識される。空気を通して伝わる音の振動は温度に影響され、伝播速度が変化、屈折する。気温が低ければ音速は遅くなり、暖かければ早くなる。
また、気温が低くいと音は鋭い角度で上空へのびていくが、高いと穏やかな角度で遠くへ届く。夜は放射冷却により地表近くの空気の温度が低く、上空が高いので、音が途中で下向きに曲がり、遠くまで届きやすい。
放射冷却は晴天の夜に起こりやすいので、冬の晴天の夜が一番遠くまで音が届く。
気温が上がると空気中の分子の活動が活発になり、分子同士の振動(波)の伝達が早くなる。逆に気温が下がると分子同士の伝達は遅くなる
昼間は地表が暖かく上空の方が冷えている。夜になると、暖められていた地表の放射エネルギーの発散によって気温が下がり(放射冷却)、上空の方が暖かくなる。音速の変化により屈折が生じ、音の伝わり方が変わる。
雪が地面に降り積もっている時の音の聞こえ方はどうだろうか。音が響かず、まるで無音のような、静寂な世界を感じることがある。これは、雪が音の振動を吸収してしまうからだ。
雪の結晶はご存じのとおり、中心から木の枝のように六角などの多角形に広がる形をしている。結晶の中の枝の部分で音が跳ね返り、振動が吸収されていく。
雪の多い豪雪地帯では、遠くの音は聞こえにくく、足で雪を踏みしめるザクッザクッという近くの音だけが耳に届く。
音の性質を決める大きな要素は「高低」「音量」「音色」の3つ。
振動がどのように影響するのだろうか。
一面が雪に覆われる冬の五箇山の集落。白一色の光景と静けさが合わさり、厳かな雰囲気が漂う
ギザギザとした雪の結晶。音は雪と雪の隙間で吸収されるといわれている。特に新雪は音の吸収率が高い
これからの季節、街を彩るイルミネーションや雪の降り積もる里山など、冬ならではの観光地に出かける方もいることだろう。
冬だからこそ感じる静かな世界を、目と耳で楽しんでほしい。
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