クラブツーリズム TOP「旅の友」Web版【東日本版】科学で旅はもっとおもしろい。 第5回 天文学と暦

科学で旅はもっとおもしろい。 第4回 黄金比

Science of Calendar

探究心や好奇心は、いつも胸に抱いていたいもの。
旅のあれこれを科学的にひも解いて、旅をもっと楽しもう。

暦の上では秋の到来を示す「立秋」を迎えたvが、まだまだ暑い日が続いている。
私たちは、1年=365日のグレゴリオ暦を使用しているが、昔から使われていた旧暦も馴染み深い。世界を見回すと、インドのヒンドゥー暦やイスラム圏のヒジュラ暦など、日本以上に旧暦を併用しているところもある。今回は、暦の成り立ちを探ってみよう。

暦は大きく分けて3種類!

暦の起源を溯ると、天文学と大きく結びついていることが分かる。暦の種類は大きく分けて3つ。太陽をもとにした「太陽暦」、月の満ち欠けをもとにした「太陰暦」、太陰暦をもとに太陽の動きを加味した「太陰太陽暦」がある。ちなみに、グレゴリオ暦は「太陽暦」、ヒジュラ暦は「太陰暦」、日本の旧暦とヒンドゥー暦は「太陰太陽暦」だ。

最も古い暦は、どうやって作られた?

世界で最も古い暦は、「太陰暦」。月が全く見えなくなる新月から次の新月までを1カ月(29日または30日)とし、12カ月で1年とする。月の形を見れば、おおよその日にちが分かるため、万人に分かりやすく、古代より世界各地で使われてきた。

「太陰暦」は1年が354日のため、1年で11日ずつのずれが生じる。一説によれば、このずれを解消した「太陰太陽暦」を編み出したのは、メソポタミア文明のシュメール人だそうだ。高度な天文学の知識を備え、日食や月食のタイミング、惑星の細かな動きなどを知っていたともいわれている。彼らは閏(うるう)月を加え、暦を調整。また、月の観測から、新月、上弦、満月、下弦の4つの形がそれぞれ約7日ごとに変化することを基準に、七曜制もとり入れた。

パルテノン神殿

古代エジプトでは、どんな暦を使っていたのだろう?

地球が太陽をまわる周期をもとにした「太陽暦」は、1年=365日。このサイクルを見つけたのが古代エジプト人だ。

ナイル川で灌かん漑がい農業を営んでいたため、毎年同じ時期に起こる川の氾濫は、彼らにとって大きな関心ごとのひとつ。氾濫は夏の初め、シリウス星が太陽に先立って現れる時期と一致する。天体観測からこの周期が約365日と分かっていたというから驚きだ。シリウスが日の出直前に昇る日は「ヘリアカルライジング」と呼ばれ、古代エジプト暦の1年の区切りとなっている。

日本の旧暦のように、世界各地で昔から使われていた暦の文化が、今でも継承されているところは多い。曜日によって休みが日本と違っていたり、旅先で暦上の祭日を祝う祭りと遭遇することもあるだろう。訪れた地域の旧暦を知ることで、旅の楽しみがひとつ増えるかもしれない

イシス神殿
古代エジプトで太陽神とともに崇められていた、シリウス星が由来の女神イシス。エジプトのフィラエ島にあるイシス神殿はシリウスの出没方向に向けられている
オベリスク
(方位碑のモニュメント)
古代エジプトで太陽神とともに崇められていた、シリウス星が由来の女神イシス。エジプトのフィラエ島にあるイシス神殿はシリウスの出没方向に向けられている
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