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クラブツーリズム TOP>「旅の友」Web版【東日本版】> 科学で旅はもっとおもしろい。 第3回 光る生物
探究心や好奇心は、いつも胸に抱いていたいもの。
旅のあれこれを科学的にひも解いて、旅をもっと楽しもう。
暗がりの中をほのかな光を放って飛び交うホタルの情景は、日本人がこよなく愛する夏の風物詩のひとつだろう。静寂な闇の中で放たれる儚げな光は、非現実的な世界を醸し出す不思議な眺めだ。
光る生物はホタルだけではない。夜光虫やキノコ、チョウチンアンコウ、ヒカリゴケなど、地球上には数万種類の光る生物が存在する。面白いことに四足動物には存在しないことも分かっている。なぜ光るのだろうか。光る理由は解明されていないものが多いが、ホタルのようにオスとメスが交信するためであったり、海の中で天敵から身を守るため、逆に獲物をおびき寄せるためなど、その目的はさまざまだ。
光る仕組みは大きく3つに分けられる。ホタルのように自ら光を放つ「発光」、サンゴやイソギンチャクのように目に見えない紫外線などを可視光に変えて輝く「蛍光」、そして、ヒカリゴケなど、ほかの光を跳ね返す「反射」だ。反射タイプの生物は、光を跳ね返しやすいレンズ状細胞と呼ばれる細胞を持っているのだが、発光タイプの生物は「発光タンパク質」、蛍光タイプの生物は「蛍光タンパク質」を備えている。
青白い美しい光を放つ、オワンクラゲという光る生物がいる。発光タンパク質と蛍光タンパク質を併せ持っている珍しいクラゲだ。2008年に日本人で6年ぶりに下村脩博士がノーベル化学賞を受賞した快挙を、覚えておられるだろうか。受賞の理由はオワンクラゲの蛍光タンパク質を発見したことによる。光るタンパク質を遺伝子に付け、どのようにガン細胞が広がっていくのかなど、医学の研究がこの発見により大きく進んだのだ。
まだ、謎の多い光る生物の生態。小さな輝きから、再び大きな発見がなされるかもしれない。幻想的な光から広がる世界を楽しみたい。
夏の夜に、窓を開け放していると、電灯に虫が群がるのを見たことがあるだろう。虫には光に寄っていく「走光性」の性質がある。
深海魚のチョウチンアンコウもこの習性を利用している。おでこから伸びた突起物を光らせ、小さい魚をおびき寄せて捕食する。実は、チョウチンアンコウは自ら光っているのではなく、自分の体内に飼っている発光バクテリアを突起物の中に蓄えているのだ。
ここに発光バクテリアが共生。バクテリアは居心地の良い場所を手に入れ、チョウチンアンコウはエサを得るという持ちつ持たれつの関係を築いている
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