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クラブツーリズム TOP>「旅の友」Web版【東日本版】> 科学で旅はもっとおもしろい。 第2回 花
探究心や好奇心は、いつも胸に抱いていたいもの。
旅のあれこれを科学的にひも解いて、旅をもっと楽しもう。
美しい花々で彩られたガーデンや山野草、高山植物 など、旅のスタイルによって出会う花もまちまちだ。花の種類は地球上に25万種以上、人によって改良されたものを加えると実に100万種を超える。花の香りや形状、成り立ちなど、個性豊かで摩訶不思議なものが多いのも、花の面白さの一つだろう。
スイフヨウという花をご存知だろうか。白色の花が、時間が経つにつれて徐々に赤く変化していく不思議な花だ。まるで酔っ払っているような現象のため、「酔芙蓉」と名付けられた。他にもスイカズラやバラのチャールストンなど、色が変化していく花はいくつかあるが、どうしてそのようなことが起きるのだろうか。
花の色はフラボノイド、カロテノイドなどの4種の色素があるが、中でも黄色からオレンジ色を出す「カロテノイド」、フラボノイド系で赤〜紫〜青の幅広い色を出す「アントシアニン」の2つが代表格だ。スイフヨウは、このアントシアニンの生合成が午後以降に急速に進むため、赤くなる。生合成には温度も関係しており、25℃以上で進み、低温だとあまり合成されない。だから、気温の上がらない朝は白く、温度が上がると赤くなるのだ。温度は光に左右されるので、一つの花でも半分が日陰に入っていれば、白色と赤色の半々の花が見られる。また、一度赤くなった花は白色に戻ることはない。萎しぼんで花落ちするころには濃い赤色になっている。
ところで、白い花の色素はどうなっているのだろうか。実は植物界に白の色素は存在しない。私たちがどのように色を認識しているかといえば、花からの反射光によって識別している。赤い光が反射されれば赤く見え、青い光が反射されれば青に見える。カロテノイドやアントシアニンの色素が特定の色を反射するので、私たちにはその色が見えるのだ。では、白の色素がないのに、なぜ、白い花は白く見えるのだろうか。白い花には花びらの中に無数の気泡があり、すべての色の光を反射するので白く見えているのだ。ためしに(可哀想だが)白い花を手でつぶしてみると、気泡が消え、花は透明になる。色については、科学的に解明されていない部分がまだまだある。複雑な花の世界に思いを巡らせて 観賞するのも面白いだろう。
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