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クラブツーリズム TOP>「旅の友」Web版【東日本版】> 科学で旅はもっとおもしろい。 第1回 写真
探究心や好奇心は、いつも胸に抱いていたいもの。
旅のあれこれを科学的にひも解いて、旅をもっと楽しもう。
楽しい旅の思い出は、いつまでも忘れずにいたい。その最も効果的な方法は、写真に残しておくことだろう。せっかくの旅写真だから、できるだけ綺麗なものにしたい。そんなふうに思うのが人情というものだが、これがなかなか難しい。それもそのはず、カメラがどうして風景や人物や、ましてやその場の空気まで写せるのか存じ上げないという方がほとんどだからだ。
納得のいく写真を残したければ、まずはその仕組みを知っておきたい。いまやデジタルカメラやスマートフォンでの撮影が主流だが、一昔前はフィルムカメラが当たり前だった。やり直しがきかないため、シャッターを切る瞬間には、少なからず「えいやっ」という思い切りが必要だった。その「えいやっ」の瞬間に、カメラの中では何が起きていたのか。
外から入ってきた光はレンズを通り、フィルムにあたる。フィルムには光があたると化学変化するハロゲン化銀が塗られていて、それがフィルム上に目に見えない画像パターンを作る。このフィルムに現像処理を施せば、絵が現れるという仕掛けだ。
このハロゲン化銀に色素を加えると、ある特定の色の光にだけ反応するようになる。カラーフィルムには青、緑、赤のそれぞれの光だけに感光する感光剤が塗られていて、届いた光に応じて画像パターンが刻まれる。これを現像すると、おなじみのカラー写真のネガができあがるのだ。
デジタルカメラはどうなっているのだろう。違いはフィルムカメラが銀の化学変化を利用するのに対し、デジタルカメラは光の強さを数値で認識し、三原色の組み合わせに置き換える点にある。
デジタルカメラでフィルムに似た役割を果たすのが、CCDなどの光の強弱に反応するセンサーだ。青、緑、赤の光の強さを測り、それぞれを小さな点に置き換える。光の強さは、青や赤の点の濃度に反映される。つまりデジタル画像は、濃淡のある青と緑と赤の点で描かれた、極めて精緻な点描画なのだ。ひとつひとつの点は「画素」と呼ばれ、何個の画素でできているかで精緻さを表す。「1万画素=1万個の点でできた画像」といった具合だ。画素数が大きくなるほど、より精細な画像ということになる。
こうして見ると、化学変化で変色させるフィルムと点描画のデジタルでは、意味合いがまったく異なることが分かる。細かな表現力を重視したい、空気が伝わるような柔らかな表現がしたい、など、目的別に使い分けてみるのも面白い。どの光をどんなふうに残すか。そんな視点で撮ってみてはいかがだろうか。
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