恵みの大地と豊かな水に育まれたカンボジアには、クメール王朝時代から続く史跡が数多く点在します。有名なアンコール遺跡群は、首都プノンペンからバスで6時間のところに位置しています。
No.01 アンコール・ワット
サンスクリット語で「王都」を意味するアンコール、クメール語で「寺院」を意味するワット、この二つを合わせて称するアンコール・ワットは、12世紀前半、ヒンドゥー教の寺院として建立されたのち、16世紀後半に仏教寺院として改修され、現在に至ります。クメール建築の粋を結集して建立された大伽藍や中央祠堂といった建物は、カンボジアの象徴として国旗の中央に描かれるほどの存在感をほこります。
スタッフのおすすめPoint!
数ある壁画の中で最も有名なのが「乳海撹拌(にゅうかいかくはん)」です。約50mに及ぶ回廊に、88体の神々と92体の阿修羅が綱を引き、山を動かしてて大海をかき混ぜ、命の霊薬アムリタを生むというヒンズー教の天地創造の1シーンが描かれています。胸を叩くと音が響く「エコーの間」など内部に見どころが多くありますが、一番は西門から望むアンコール・ワットの全容かも。歴史の流れを感じさせる威容は圧巻です。写真を撮るなら順光になる午後がおすすめ!
No.02 プノンペン
カンボジアの首都であり、行政・経済・文化の中心地、そして玄関口ともいえる国際空港を擁するプノンペン。カンボジアの伝統様式、「東洋のパリ」と称されたフランス植民地時代の街並み、そして綿密な都市計画による洗練された現代の市街地と、様々な顔を持ち合わせる大都市です。年間平均気温は27℃、一年中日本の真夏と同じような気温が続きますが、雨が少なく過ごしやすい乾季の12月~3月が、旅行で訪れるベストシーズンといえるでしょう。
スタッフのおすすめPoint!
一番の見どころは王宮です。現在も王族が生活する建物の一部が公開されており、その暮らしぶりを垣間見ることができます。隣接するシルバーパゴダは王室の仏事が行われる施設。銀のタイルが敷き詰められ、黄金の宝冠仏には2086個ものダイヤモンドがちりばめられているといいます。また、プノンペンで最大規模の市場、セントラルマーケットではアクセサリーや雑貨、民芸品などのお店でにぎわいます。個性的なお土産を選ぶのにおすすめです。
No.03 タ・プロム
カンボジアの北西部、アンコール・ワットやアンコール・トムと同じく、アンコール遺跡群に含まれる寺院の遺跡です。アンコール・ワットとは逆に、元々は仏教寺院として建立されたのち、後世にヒンドゥー教の寺院に改修されたと伝えられています。遺跡の各所には、ガジュマルをはじめとする熱帯樹木の巨大な根が絡みつき、映画やアニメのような幻想的な風景が広がります。
スタッフのおすすめPoint!
木立の中の参道を歩いていくと、現れるのが常緑高木ガジュマルによって侵食された寺院の異様な光景。荒廃し、密林に放置された長い年月を物語るこの景観こそがタ・プロムの最大の見どころです。まるで人間の営みと自然の力のせめぎ合いを見るような厳かな迫力を感じます。破壊された寺院を修復する計画もありましたが、この神秘的で不思議な光景を歴史と自然との共存ととらえる考え方もあり、現在も発見当時の姿のままで保存されています。
No.04 シェムリアップ
プノンペンからバスで6時間、飛行機で1時間と、ちょうど東京~大阪間に相当する距離に位置する古都がシェムリアップ。アンコール・ワットやアンコール・トムといったアンコール遺跡群や、トンレサップ湖を訪れる際の拠点として知られています。またシェムリアップそのものも、カンボジアの昔ながらの情緒を残しつつ、夜でも安全に出歩けるほど治安も良好で、カンボジアの郷土料理やフレンチといったグルメを楽しめる観光地となっています。
スタッフのおすすめPoint!
アンコール遺跡観光の拠点、メインストリートのシヴァタ通りにはホテルやレストランが軒を連ね、バイクタクシーやトゥクトゥクが行き交います。少し外れると、伝統的な高床式の家々がバナナやヤシの木に囲まれて立ち並ぶなど、のどかな光景が広がります。フランス植民地時代をしのばせるエキゾチックなオールド・マーケットでは、観光客向けの土産店も。特産の絹織物や工芸品などさまざまな物が集まり、見ているだけでも楽しいときを過ごせます。
No.05 アンコール・トム
同じアンコール遺跡に位置するアンコール・ワットが寺院であるのに対し、アンコール・トムは大規模な要塞都市であるという点が最大の違いです。長さ約3kmの濠、高さ8mの城壁、そして5つの城門で囲まれた敷地内には、王宮や寺院などの各種遺跡がぎっしりと密集しています。神話の世界をモチーフにしたアンコール・ワットと違い、王宮や軍隊、市場など、当時実在した人々を題材にした美術が多く見られる点にも注目です。
スタッフのおすすめPoint!
最も名高い寺院であるバイヨンのほか、象のテラスやライ王のテラスなど見どころがいっぱいです。象のテラスは高さ約3m、延べ300mを超える巨大なテラス。儀式の際の閲兵席として、また凱旋する軍隊を眺望する基壇として使われていたもので、テラス内に彫られた多くの象の姿からその名がつきました。U字型の構造物を持つライ王のテラスは、王族の火葬場として使われていたという説があり、日本の著名な戯曲の舞台としても知られています。
No.06 バイヨン
アンコール・トムにある数々の建造物のなかでもっとも目を引くのが、54もの塔と観音菩薩の巨大な顔で知られるバイヨン。元々は12世紀末、アンコール王朝の中興の祖と称されるジャヤーヴァルマン7世によって建立された仏教の寺院でしたが、アンコール王朝にヒンドゥー教が流入するようになると、今度はヒンドゥー教の寺院として改修。現在では仏教とヒンドゥー教、両方の様式が入り混じった独特の趣を持ち合わせるようになりました。
スタッフのおすすめPoint!
バイヨンに建てられた塔には四面に観世音菩薩の大きな顔が彫られています。それらは「クメールの微笑み」とも呼ばれる神秘的な微笑をたたえ、不思議な魅力にあふれています。見上げるほど大きいその塔を眺めると、優しい観世音菩薩に見守られているような穏やかな気持ちになるといいます。王朝の最盛期に建造されたバイヨンは、成熟したアンコール王朝の文化を反映するように、繊細で小さなレリーフが多く見ごたえがあります。
No.07 トンレサップ湖
カンボジアの国語であるクメール語で「トンレ(川)」「巨大な淡水湖(サップ)」。名前そのものに「湖」という意味が込められていることからもわかるとおり、カンボジアの国土のなかでも絶大な存在感を持つ湖が、このトンレサップ湖です。水深は乾季には1m、雨季には9mと浅いものの、古くから漁業が盛ん。メコンオオナマズのような巨大魚から淡水のフグといった多彩な魚は、今も昔もカンボジアの人々にとって重要な水産資源です。
スタッフのおすすめPoint!
トンレサップ湖を訪れたら体験していただきたいのがボートクルーズツアーです。湖上にはたくさんの集落があり、100万人ともいわれる多くの人々が住んでいます。集落には特徴的な高床式の家屋や教会、商店、レストラン、なんと警察や小学校までありとても湖の上とは思えません!ぜひ見ていただきたいのがトンレサップ湖の夕焼けです。広大な湖の水面を黄金色に染める夕日は何ともロマンチックですてきですよ!
No.08 カンボジア国立博物館
クメール様式で作られた屋根と破風、そしてカンボジアの大地を彷彿させる鮮烈な赤。建物そのものがカンボジアの歴史と文化を象徴した外観となっているのが、このカンボジア国立博物館です。プノンペン市街を流れるトンレサップ川のほとり、カンボジア王宮のすぐそばという好立地と、王宮と合わせても一日で回りきれるほどのちょうどいい規模なので、到着直後や帰国間際といった隙間時間でも気軽に立ち寄れます。
スタッフのおすすめPoint!
カンボジア全土の貴重な美術品を展示しているカンボジア博物館。行ったからには必ず見たい3つの見どころをご紹介します。ジャヤヴァルマン七世の像はバイヨン遺跡にあったとされ、人の心を引き付ける深い表情が魅力。迫力ある高さ約2mの巨大なガルーダ像はコー・ケー遺跡の出土物です。8本腕のヴィシュヌ神はプレ・アンコール期の傑作。ほかにもクメール美術が残した彫像やレリーフがたくさんあるのでじっくりご堪能ください。
No.09 セントラルマーケット
中央の巨大なドームから、四方に長い回廊が伸びる十字型の構造を持つのが、このセントラルマーケット。貴金属やジュエリーなどを扱う高級店が多く集まる中央のドーム部分は、市場というより百貨店といった趣がありますが、四方に伸びる回廊部は壁なしの半開放構造、青果から鮮魚・精肉、各種屋台といった、いかにも市場といった感じの店舗が軒を連ねています。お土産確保もグルメ満喫も、とりあえずここ一ヶ所で事足ります。
スタッフのおすすめPoint!
日用雑貨や食料品、衣料品、靴、ジュエリー。「まさにアジア」といったムード満点の市場です。場内・場外は活気にあふれ、多数の商店がひしめき合っています。かわいい雑貨やTシャツなどもたくさんあり、値段を交渉しながら買い物が楽しめます。手軽に購入できておすすめなのがフルーツ。日本ではあまり見られないカラフルな南国のフルーツもいっぱい売られています。夢中で物色している間に迷子に、、、なんてことも多いのでご注意ください!
No.10 キリングフィールド
カンボジア国内には、1975年から1979年にかけてのポル・ポト政権下で、大量虐殺が行われた刑場跡である「キリング・フィールド」と称される場所が何箇所もあります。なかでも有名なのが、プノンペンから南西に15kmほどに位置するチューン・エック。日本語音声によるイヤホンガイドサービスもあるこのチューン・エック、かつての悲劇を忘れず、そして繰り返さないためにも、機会があれば一度訪れてみてください。
スタッフのおすすめPoint!
共産主義の台頭により生まれたポル・ポト政権は多くの罪のない国民を虐殺しました。その数は最大で約300万人ともいわれ、当時のカンボジアの人口の約3分の1にのぼったともいわれます。キリングフィールドは収容所であり、処刑が行われた場所。たくさんの遺骨や処刑現場の跡、処刑に使われた道具など、悲劇の爪痕が今も残っています。
神秘的なアンコール・ワット、美しい街並みのプノンペン、遺跡と自然がせめぎ合うタ・プロム、活気に満ちたセントラルマーケットなど、魅力溢れるカンボジアに出掛けましょう!
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