北海道旅行/北海道旅遊

明治～大正期の近代化によって栄え、北海道でも有数の港湾都市として発展を遂げてきた小樽。今でもかつての繁栄を思わせるレトロでノスタルジックな歴史的建造物が数多く残されています。
北海道の経済の中心となったことから「北のウォール街」とも呼ばれた銀行街もそのうちの一つ。
その中でも注目なのが「旧北海道拓殖銀行小樽支店」。1923年に建設され、かつては「蟹工船」の著者小林多喜二も働いていました。
1989年に銀行としての務めを終えて以降は、ホテルや美術館に姿を変えながら2017年に「似鳥美術館」として再オープン。近現代の日本画や彫刻などが数多く展示され、日本の芸術と歴史を感じられる美術館になっています。

北海道オホーツク管内の中央部に位置する遠軽町丸瀬布。雄大な山々に囲まれたこの土地に、今も蒸気機関車が走っていることをご存じですか？
町営の公園、「森林公園いこいの森」の園内約２キロの周回コースを走る蒸気機関車の名は、「雨宮２１号」。動く状態で保存されている日本唯一の森林鉄道ＳＬで、いこいの森を訪れる観光客を40年にわたり楽しませています。
雨宮２１号は、かつて木材の運搬に活躍しましたが、やがてディーゼル機関車などに取って代わられて1958年に運行を終了し、後に森林鉄道も廃止されました。
しかし、その後も雨宮２１号は地域の宝として大切に保存され、のちに地元住民の強い要望を受けて旧丸瀬布町により復活。1979年には、「森林公園いこいの森」で22年ぶりの汽笛を響かせたのでした。
２００４年には北海道遺産に、０９年には経済産業省の近代化産業遺産に認定され、12年には歴史的な鉄道の財産を後世へ残していくための「準鉄道記念物」にも選ばれた雨宮２１号。道東を訪れた際にはぜひ乗車して、かつての歴史に思いをはせてみてはいかがでしょうか。

今や函館の代表的な観光スポットとなった「金森赤レンガ倉庫」。この倉庫の起源である「旧金森洋物店」の店舗が、今も形を変えて残っていることをご存じでしょうか。
旧金森洋物店は、1880年から1925年にかけ、主に舶来物の雑貨などを販売していた輸入雑貨店。1878・79年の大火を受けて不燃質建築で建造された建物は、その後も函館を襲った大火を幾度もくぐり抜けて今日まで残ってきた貴重な存在です。
その後、かつての旧金森洋物店は1969年に「市立函館博物館郷土資料館」として開業しましたが、建物の老朽化に伴い1998年に閉館。2年にわたる復元改修工事を経て、建設当時に限りなく近い形で復元され、2000年にリニューアルオープンしました。
館内では、パネルや模型で明治時代の函館の様子を紹介。「明治時代の函館のハイカラ文化」を感じることのできるスポットとなっています。函館を訪れた際には、ぜひチェックしてみてくださいね。

北海道の東沿岸にある野付半島は、半円の形をした全長約28kmに及ぶ日本最長の砂嘴（さし＝砂の堆積した陸地）。幅の短いところは数十メートルしかなく、いずれ海に沈んでいく心配もされている貴重な景勝地です。花の季節には高山植物が咲き、多くの野鳥が飛来する自然の宝庫でもあります。
トドマツが朽ちて荒涼とした光景が広がる「トドワラ」や、ミズナラが海水で浸食され風化したまま林立する「ナラワラ」など、どこかわびしさを漂わせた雰囲気もあり、旅情をかきたてられます。今はひと気のないこの野付半島に、その昔、「キラク」と呼ばれる歓楽街があったというから驚きです。時代は、江戸幕府が北方交易に力を入れていたころ。交通の要所として「野付通行屋」を設置したという史実が残されています。位置的には半島の先端。そこには酒場があり、遊郭があり、街を遊女が歩いていたといいます。
「キラク」というのは口承で、古文書にその名は出てきません。が、人々が農作をしていたことや、ニシン漁の番屋が立ち並んでいたことは記録にあります。幕府がここを国後に渡る要衝として位置づけ、海の交通の拠点としため、人々が集まり、にぎわった時代があったのです。なんとも謎めいたロマンにあふれる不思議な地。当時のにぎわいを想像しながら、海風に吹かれて散策してみるのも一興ですね。
幻の街キラクは、最近では演歌にも歌われ知られるようになってきました。なお、野付通行屋跡遺跡は発掘調査が行われ、その出土品を別海町郷土資料館で見ることができます。