長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産のご紹介
2018年世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、16世紀以降の日本におけるキリスト教の伝来と繁栄、激しい弾圧と、250年もの潜伏、そして奇跡の復活、という受容過程を示す長崎の遺産群であり、城跡・集落・教会建築で構成されます。
※写真撮影・掲載に当たっては大司教区の許可をいただいています
長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産とは?
宣教師ザビエルによる平戸でのキリスト布教が行われて以来、長崎の地にキリスト教が広がっていきました。
しかし、江戸時代に入ると、幕府によってキリスト教の禁教・弾圧が徹底され、人々は250年以上もの長期にわたり、密かにキリスト教の信仰と継承を続けます。
明治時代に入り、キリスト教の禁教が解かれると、五島列島などに潜伏しながら信仰を守ってきた人々は、その土地に信仰継承の証として教会堂を建て、これらの教会群が長崎のキリスト教伝播と普及の歴史を物語るものとして、今もその姿を後世に残しています。
450年にも及ぶ長崎のキリスト教の伝播と、日本におけるキリスト教普及のきっかけとなったその足跡を、ぜひ自分の足で訪ねてみてはいかがでしょうか。
五島列島
奈留島の江上集落
【長崎県五島市】
漁業を営む島民たちの収入によって作られた教会で、柱の手描きの木目模様、花を描いた窓の透明ガラスなど信者の献身的な作業が垣間見ることができます。
頭ヶ島(かしらがしま)の集落
【長崎県南松浦郡】
西日本で唯一、全国的にも珍しい石造りの教会で重圧的な概観とは対照に、内部には花柄の装飾が施されており、華やかな雰囲気が溢れています。完成までに10年かかりましたが、島の信者による資金集めや労働奉仕などの献身的な努力があったとされています。現在は国指定重要文化財に指定されています。
久賀島の集落
【長崎県五島市】
外観は素朴な和風建築だが、内部は三廊式、ゴシックの木造リブ・ヴォールト天井からなる明治初期の教会建築史を物語る貴重な遺構。
野崎島の集落跡
【長崎県北松浦郡】
かつてのキリシタン集落。高度経済成長の下、野崎島では過疎化が進み、1971年、住民全てが島を離れたことにより教会は一時荒廃してしまうが、小値賀町により修復・整備されました。
長崎・佐世保・天草地区
天草の﨑津集落
【熊本県天草市】
島原・天草の乱以降、﨑津などの限られた集落にキリシタンが潜伏するのみとなりました。厳しい取締りの中、﨑津集落の人々は潜伏キリシタンとして信仰を守り伝えてきました。高くそびえると尖塔とパステルカラーが愛らしいステンドグラスに飾られた教会で、穏やかな洋角湾を望む姿は「海の天主堂」とも言われています。漁村に佇む教会です。(﨑津の漁村景観が「国の重要文化的景観」にも選ばれています)
大浦天主堂
【長崎県長崎市】
1597年日本で最初に殉教した日本二十六聖人たちに捧げられた教会です。
黒島の集落
【長崎県佐世保市】
内観はアーケード、トリフォリウム、高窓を備えた壮大な空間です。有田焼タイルや黒島の御影石など地域の材料が使われています。
原城跡
【長崎県南島原市】
徳川幕府の治下で最大の反乱といわれる「島原・天草一揆」。城跡からは十字架やメダイなど、キリシタン遺物が多数発見されています。
外海の大野集落
【長崎県長崎市】
出津教会の巡回教会として建てられた、玄武石を外壁にした和瓦葺きの建物です。
外海の出津集落
【長崎県長崎市】
出津教会堂はド・ロ神父の設計・指導により解禁後に建てられました。外海地区の強風を考慮した低平な外観と内部空間が特徴です。
平戸の聖地と集落(春日集落と安満岳)・平戸の聖地と集落(中江ノ島)
【長崎県平戸市】
平戸ではキリスト教が盛んだったが、16世紀末からの禁教政策のためキリシタンは潜伏を強いられました。平戸の各地は聖地とされ今なお崇敬されています。