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古くは紀元前より地中海貿易の要衝となったレバノン。首都ベイルートは、中東における文化・金融の中心地として大いに発展し、その華やかさから「中東のパリ」とも称されていました。1975年に始まった15年に及ぶ内戦や2006年のイスラエルとの戦争により市内は大きく破壊されましたが、現在では復興も進み美しい街並みが広がります。

ベイルート観光では必見の博物館。1943年にオープンし、先史時代からマムルーク朝時代までの貴重な遺物が1,300点以上展示されており、所蔵品は10万点とも言われています。内戦の影響により1975年に一旦閉館したものの、1999年に再オープン。内戦中は爆撃から保護するためコンクリート詰めにして保管されていた品々が展示されています。現存する最古のフェニキア文字の碑文が刻まれたアヒラム王の石棺、ビブロスで発見された「巨人」と呼ばれるエジプト風の大きな石像、牛に乗ったエウロペのモザイクなどが展示されており、2階にはとんがり帽子をかぶったフェニキア兵士の青銅像など、人類が足跡を残し始めた頃からの貴重な出土品が展示されています。

ベイルートから北に約40km。新石器時代から続く世界最古の都市の1つで、紀元前3000年頃には、エジプトへのレバノン杉の輸出港として発展。この都市を建設したフェニキア人のフェニキア文字がギリシャ、ローマへと伝わり、現在のアルファベットへと発展しました。また聖書を意味するバイブルの語源にもなったといわれています。

新石器時代の住居から始まり、フェニキア王の9基の墓所、ローマ劇場跡、エジプト時代の26本のオベリスクなど、この町の長く多彩な歴史をたどることができます。12世紀に作られた十字軍の要塞はこの遺跡のランドマーク。1984年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。

ベイルートから南へ海岸沿いを約40km、レバノン第3の都市。古代のシドンはフェニキア人の都市国家として旧約聖書や紀元前14世紀に書かれたアマルナ文書にも名を残すほどの有名な都市でした。その後も、ギリシャやローマ、イスラム王朝に至るまで多くの国家が重要な沿岸部の拠点とすべく勢力を争った場所でもあります。現在、サイダのランドマークとなっている「海の要塞」は13世紀に十字軍によって建設されたものです。また、旧市街の伝統的なスークや、石鹸の産地として有名だった頃の歴史や製造工程を展示した石鹸博物館など、興味深い見所があります。

レバノン料理はアラブ料理の代表格で多種多様な料理として評価されています。テーブル一杯に並べられる彩り豊かな小皿の前菜には、ヒヨコ豆を濾してゴマペーストと混ぜた「ホンモス」やナスにゴマペーストを加えた「ムタバル」、トマトと玉ねぎのみじん切りに砕いた麦やイタリアンパセリを加えたサラダ「タブレ」など、たくさんの種類があります。メイン料理では、ケバブやチキンの串焼きなどがあります。また地中海性気候の土地ならではの、レバノン産ワインもお勧めです。