ミズバショウ咲く尾瀬(イメージ)
高山植物の宝庫として知られる尾瀬。初夏から夏はミズバショウやワタスゲ、ニッコウキスゲといった花を楽しめ、秋は湿原をオレンジ色に染め上げる草紅葉が見事です。至仏山や燧ヶ岳など2,000m級の山々に囲まれ、多くのハイカーに愛されています。今回はそんな尾瀬国立公園のおすすめスポットや時期によって異なる魅力をご紹介します。
尾瀬とは
福島県・栃木県・群馬県・新潟県をまたぐ尾瀬国立公園。尾瀬や尾瀬沼をはじめ、燧ヶ岳・至仏山などの2,000m級の山岳、会津駒ヶ岳の稜線、田代山の山頂に広がる山地湿原まで、総面積37,222haという広大な規模です。標高が約1,000mから2,356mと高低差があることも特徴のひとつ。北方系と南方系の種、太平洋型と日本海型の気候・植生の接点エリアに位置するため、固有種など多種多様な植物や野生動物が生息する豊かな環境が大きな魅力です。湿原生態系としての価値も高く、ラムサール条約湿地や特別天然記念物でもあるため、環境保護のためのルールも設けられています。
尾瀬の見どころ
No.01 鳩待峠
鳩待峠(イメージ)
尾瀬を訪れる時、主要な入口となるのが群馬県側の登山口・鳩待峠。湿原の木道を歩くハイキングのスタート地点としても賑わうスポットです。駐車場からシャトルバスや乗り合いタクシーで向かうのがスタンダードなアクセスとなります。この地で長らく親しまれてきた休憩所は、はとまちベースCafe&Shopとして生まれ変わりましたが、名物の花豆ソフトクリームは健在で、ハイキングや登山に備えて足りない持ち物があれば、ここで調達しておくといいでしょう。出発前にお手洗いを済ませておくことも忘れずに。
No.02 山ノ鼻
山ノ鼻(イメージ)
山ノ鼻というユニークな地名は、至仏山の裾が鼻のように突き出て見えることが由来です。群馬県側のスタート地点である鳩待峠から歩くと、山ノ鼻が広大な湿原のはじまりです。至仏山や燧ヶ岳の雄大な眺めやミズバショウやワタスゲなど、季節ごとの植物を楽しめます。尾瀬の自然情報などを掲示している山の鼻ビジターセンターや、トイレ、山小屋も複数あり、休憩におすすめです。
No.03 大江湿原
大江湿原(イメージ)
大江川沿いに開ける大江湿原は、悠久のときを経て泥炭が堆積してできたと考えられています。「花の湿原」と称される高山植物の宝庫で、広い湿原に黄色いニッコウキスゲが群生する様子は、尾瀬の代表的な風景といえるでしょう。標高が尾瀬よりも高く、冬は大量の積雪や地形と地質の特異性も影響し、珍しい種類の高山植物が生息しています。ミズバショウが咲きだす雪解けの5月頃から、9月中旬の草紅葉の季節まで、多種多様な草花が生命のきらめきを放ちます。
No.04 研究見本園
研究見本園(イメージ)
至仏山山裾の湿原を利用した研究見本園は、尾瀬の最西部に位置する施設です。人工の植物園のような名称ですが、実際には人の手を加えていない尾瀬の自然そのまま。木道の周回コースを設けて見学できるようにしてあり、大回りコースは30~40分、その内側を通る小回りコースは20分ほどで一周できて散策にもぴったり。南側はミズゴケの生える高層湿原で、ここから北西に向かって中間湿原、低層湿原へと移り変わっていきます。池塘や浮島などもあり、イモリやオタマジャクシ、トンボなど様々な生き物にも出会えます。
No.05 ヨッピ吊り橋
ヨッピ吊り橋(イメージ)
アイヌ語で、呼び、別れ、集まるといった意味があるヨッピ。その名を持つヨッピ川にかかったヨッピ吊り橋は、牛首分岐と竜宮十字路、東電小屋の3つのルートが交わるところにあります。橋が架かったのは昭和初期。当初は木製でしたが、何度も水害で流されたことから現在は鉄製に替えられました。シーズン到来に備えて冬期は踏み板が除去され、春期はワイヤーや骨組みの異常点検などメンテナンスが行われています。紅葉の季節は湿原の草紅葉が黄金色に輝き、その後10月中旬にはダケカンバなどの広葉樹が色づき始め、美しい秋の景色が楽しめます。
No.06 牛首
牛首(イメージ)
湿原の中に突き出た小高い丘で、その形が牛の首に似ていることから牛首と名付けられた尾瀬のランドマーク。大きな池塘(ちとう)があり、湿原の景観を一望できる開放的な場所となっています。鳩待峠から山ノ鼻を通って竜宮方面やヨッピ吊り橋方面に進む分岐点もあり、尾瀬の王道ルートです。道中では至仏山の雄姿も見られます。湿原植物が広がり、春はミズバショウ、夏はニッコウキスゲ、秋には紅葉に彩られ、尾瀬の美しさを堪能しながら散策できるのが魅力です。
No.07 三条ノ滝
三条ノ滝(イメージ)
三条ノ滝は見晴から赤田代をぬけ、平滑ノ滝の先にある滝です。尾瀬を代表する大瀑布で、落差約100m・幅約30mの直瀑。一説には、水量が減少する時期に3つに分かれて落下することが、名前の由来とされています。雪解けの時期には尾瀬の水が集まり、只見川となって一気に流れ落ちるため、轟音とともに豪快な姿が見られます。滝壺までは降りられませんが、急な木製階段を下りたところにある展望台から全景を一望できます。尾瀬の湿原風景とは対照的な自然の力強さを体感できる名所です。
No.08 尾瀬沼
尾瀬沼(イメージ)
尾瀬沼は、群馬県片品村と福島県檜枝岐村にまたがる標高1,660mの高地に広がる湖沼。面積は約1.8㎢、周囲は約9kmと広大です。尾瀬より約240m高い場所に位置しているため、雪解けが遅く、紅葉は早く訪れます。水面に燧ケ岳が映る景色は「逆さ燧(ひうち)」と呼ばれ、雄大な自然と静寂を感じられるのが魅力です。湖のほとりにはビジターセンターや山小屋、テント場もあり、日帰りでも一泊でも楽しめるスポットとして、多くのハイカーに愛されています。
No.09 大清水
大清水(イメージ)
大清水は群馬県側から戸倉の交差点を直進した車道の終点に位置しています。駐車場とバス停、休憩所もあり、尾瀬沼に入る登山口としても最適です。休憩所には尾瀬の見どころを紹介する展示室があり、尾瀬名物の販売も。駐車場の隣には柵で囲った広さ2万㎡ほどの大清水湿原が広がっています。春にミズバショウ、夏にニッコウキスゲやカキツバタなどが咲く、湿原の風景を気軽に楽しめます。この他ミズナラ、ハルニレの巨木や「尾瀬の郷片品湧水群」の名水など、自然の恵みがいっぱいです。
No.10 あやめ平
あやめ平(イメージ)
あやめ平は、群生したキンコウカの葉をアヤメと見間違えたことが名前の由来だといわれています。標高1,969mの稜線沿いに位置しており、燧ケ岳をはじめ2,000m級の山々を望む絶景スポット。昭和30年代に多数の登山者が訪れ、湿地が踏み荒らされてしまったことがきっかけで、木道の設置や植生の回復などの自然保護に取り組み始めた原点のひとつとなりました。夏は一面にキンコウカが咲き誇り、紅葉の季節は鮮やかなオレンジ色の草紅葉に染まります。
四季の見どころ・尾瀬で見られる花
No.01 初夏
尾瀬に咲くワタスゲと至仏山(イメージ)
尾瀬の初夏は、雪解けが進んで湿原がいっせいに息を吹き返す季節。春の名残と夏の始まりが重なり、湿原も林も多彩な花々で彩られます。花が次々と咲き、季節の移ろいと湿原の豊かな生命力が感じられる時期です。
●ミズバショウ(5月上旬~6月中旬)
尾瀬を代表する花で、種子から開花まで3年以上の月日が必要といわれています。山あいの水のきれいな湿原や川などの水辺で花を咲かせます。
●ザゼンソウ(5月中旬~6月中旬)
名前の由来は、僧侶がお堂の中で座禅を組む姿に似ていることから。肉厚な紫黒色が特徴です。
●ワタスゲ(5月中旬~6月上旬)
花は黄緑色で控えめ、新緑の湿原に群生しています。「雀の毛槍(スズメノケヤリ)」とも呼ばれます。花が終わった後に綿毛に変わります。
●リュウキンカ(5月下旬~6月下旬)
まっすぐに伸びた花茎の先に、金色の花を咲かせる「立金花」が名前の由来。ミズバショウと一緒に開花します。
●タテヤマリンドウ(6月上旬~7月上旬)
ミズバショウの後の湿原を彩る青い花。稀に白を見かけることもあります。雨や曇りの日は閉じ、晴れた日に開くのが特徴です。
No.02 夏
尾瀬を彩る満開のニッコウキスゲ(イメージ)
初夏の柔らかな色合いから、盛夏に向けて力強い花々へと移り変わり、季節の進みとともに湿原の表情も変化していきます。短い夏を精一杯生きる植物たちの姿は、尾瀬の自然の豊かさと厳しさを感じさせてくれます。夏の尾瀬は様々な花が咲き誇るので、色々な花を探しながらの散策も楽しめるでしょう。
●ニッコウキスゲ(7月中旬~下旬)
夏の尾瀬を象徴する花のひとつ。朝に咲き、夕方にはしぼむ一日花ですが、群生して咲くため見頃の時期には湿原一面が山吹色に輝きます。特に大江湿原の景色が有名で尾瀬の短い夏の訪れを告げる風物詩となっています。
●オゼソウ(7月上旬~下旬)
至仏山で発見された尾瀬の名のつく希少な植物。よく見ないと分からないような小さく可憐な花を咲かせます。蛇紋岩残存植物という日本固有の種類で、厳しい自然環境に適応して生きる力強さを持ち、尾瀬の自然の特異性を象徴する花のひとつとなっています。
No.03 秋
尾瀬の草紅葉(イメージ)
尾瀬の秋は、一般的な木の紅葉とはひと味違う、湿原ならではの景色に包まれます。その主役となるのが、湿原一面に広がる「草紅葉(くさもみじ)」。9月中旬から10月上旬にかけて湿原の草々が黄金色や紅、茶色に染まり、まるで大地に敷き詰められた絨毯のよう。木道を歩けば、池塘(ちとう)に映り込む逆さ紅葉も見られます。特に、あやめ平や大江湿原など標高の高いエリアでは草紅葉の始まりが早く、晴れた日には金色の湿原と燧ヶ岳・至仏山の雄大な山容が織りなす絶景が見どころです。
No.04 冬
雪の尾瀬と至仏山(イメージ)
冬の尾瀬は積雪量が2~4mにもなるほどの豪雪地帯で、湿原や森が雪原へと姿を変えます。これまで、登山家や限られた作業員だけしか立ち入ることができませんでしたが、スノーシュー体験ができるようになりました。スノーシューは接地面が広く、ふかふかの雪でも沈みにくいため、初めての人でも歩けるのが魅力。真っ白な森、雪に埋もれた木道、風に舞う粉雪、静寂の中に響く足音など、貴重なひとときを楽しめます。
自然の作り出す美しい風景 写真館
尾瀬は日帰りでも楽しめますが、宿泊するからこそ出会える絶景があります。ゆっくりと光をまとい始める神秘の時間、朝焼けに染まる湿原。夜明け前に立ち込める朝霧は、晴天のしるし。霧の粒が細かい時にだけ現れる「白い虹」は奇跡の光景。夜になれば、街灯りから遠く離れた湿原に広がる、満天の星。絵画のように美しい尾瀬が広がっています。
朝霧と朝焼けの尾瀬(イメージ)
白い虹(イメージ)
尾瀬の星空(イメージ)
尾瀬の山
No.01 至仏山
至仏山(イメージ)
標高2,228m、日本百名山の一つである至仏山。海底で造られた蛇紋岩が、約1億年前の地殻変動によって隆起してできた山で、森林限界の標高1,700mを超えると蛇紋岩が露出しています。7月上旬から中旬は、蛇紋岩変性植物のホソバヒナウスユキソウが咲き誇り、至仏山を象徴する花として人気です。主な登山口は鳩待峠と山ノ鼻の2か所。鳩待峠はアクセスが良く、傾斜も緩やか。一方、山ノ鼻から至仏山へ向かう東面登山道は、登り専用ルートで急峻な上り坂が山頂まで続きます。ダイナミックな登山を楽しめますが、蛇紋岩はとても滑りやすいので注意して登りましょう。
※「日本百名山」は深田久弥著・新潮社刊
基本情報
■所在地
〒378-0411 群馬県利根郡片品村戸倉
■周辺地図
https://maps.app.goo.gl/WiHPFYGosFZs5gcH9
■アクセス
JR沼田駅から関越交通バスで約1時間30分、尾瀬戸倉下車、乗合バスに乗り換え約30分で鳩待峠下車
■電話番号
0278-58-3222(片品村観光協会)
No.02 燧ヶ岳
燧ヶ岳(イメージ)
標高2,356mの燧ヶ岳(ひうちがたけ)は、東北地方の最高峰であり日本百名山にも選ばれている火山です。池塘に映る燧ヶ岳の姿は、尾瀬を象徴する風景として人々を魅了しています。山頂部は複数のピークで構成され、最高峰の柴安嵓(しばやすぐら・2,356m)と、展望の良い俎嵓(まないたぐら・2,346m)が有名です。人気のコースは尾瀬御池登山口から出発するルート。俎嵓から尾瀬沼を、柴安嵓から尾瀬の景色を一望し、日帰り登山でも達成感を味わえるでしょう。春から初夏の燧ヶ岳は、雪が残っているので雪山装備を用意していくのがおすすめです。
基本情報
■所在地
〒967-0531 福島県南会津郡檜枝岐村燧ケ岳
■周辺地図
https://maps.app.goo.gl/YKdxZUSuoTjewHUN9
■アクセス
会津田島駅から会津バスで約1時間30分、尾瀬御池下車
■電話番号
0278-58-3222(片品村観光協会)
No.03 会津駒ヶ岳
会津駒ヶ岳(イメージ)
会津駒ヶ岳は、福島県檜枝岐村にそびえる標高2,133mの山です。残雪期に黒い仔馬(こま)模様が現れることが名前の由来。登山コースは滝沢登山口から出発して山頂を目指すルートが一般的です。広葉樹から針葉樹、やがて湿原の風景へと変化する様子も楽しめます。山頂周辺はハクサンコザクラが群生することで知られており、燧ヶ岳や日光の山々などパノラマの景色が広がります。あちこちに池塘があり、最も大きな駒ノ大池は凪いだ水面から、山頂が逆さに映る姿が望めます。山そのものを駒岳大明神とする信仰があり、山麓にはお堂が建っています。
基本情報
■所在地
〒967-0500 福島県南会津郡檜枝岐村駒ケ岳
■周辺地図
https://maps.app.goo.gl/7BbqEMZsBQyfMpEA9
■アクセス
会津田島駅から尾瀬沼山峠行き会津バスで駒ヶ岳登山口下車、滝沢登山口まで徒歩約30分
■電話番号
0241-75-2432(尾瀬檜枝岐温泉観光協会)
No.04 帝釈山
帝釈山(イメージ)
標高約2,060mの帝釈山は、福島県南の檜枝岐村と南会津町、栃木県日光市の境界に位置する帝釈山脈の主峰です。6月中旬から7月上旬はオサバグサの大群落を楽しめます。馬坂峠(まさかとうげ)登山口からスタートするルートは木道や木階段が整備されているため歩きやすい登山道。山頂までの距離が短く、50分程度で登頂できるのが魅力です。天気の良い日には、至仏山や燧ケ岳、会津駒ケ岳、日光連山などの壮大な山々を一望することができます。
基本情報
■所在地
〒967-0347 福島県南会津郡南会津町宮里
■周辺地図
https://maps.app.goo.gl/YsBvToFn9kh2SNJy5
■アクセス
・会津高原尾瀬口駅から帝釈山・馬坂登山口までシャトルタクシーで約130分
・会津高原尾瀬口駅から田代山・猿倉登山口までシャトルタクシーで約80分
※どちらも期間限定の事前予約制です
服装や持ち物
服装は動きやすさが重要です。尾瀬は平地より気温が低いこともあって、重ね着して温度調整しましょう。急な雨に備えて雨具や、紫外線対策のための帽子もお忘れなく。靴やザックは、コースに合わせて必要なものを準備しましょう。この他、服装や持ち物は下記のイラストを参考にご用意ください。
5月上旬の尾瀬国立公園は一面が雪で覆われているので、一般的なシーズンは5月中旬から10月上旬にかけて。日帰りハイキングはもちろん、宿泊して夕日や夜空、朝靄の景色は忘れられない体験になるでしょう。美しい自然を保つためにも、ルールとマナーを守ってお過ごしください。
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