鹿児島県本土から、南に約60kmの海上に浮かぶ屋久島。「神々が宿る」と言われるこの島は豊かな自然に恵まれ、1994年には世界遺産にも登録されました。縄文杉が有名ですが、それ以外にも多数の見所を抱えています。
No.01 紀元杉
すぐ近くまで、車でアクセス可能。屋久島に数多く残る巨木のなかでも、手軽に鑑賞できるという点ですば抜けているのが、この紀元杉です。樹齢3000年を迎えるこの巨木、上部は白骨化しかけているものの、その根本近くには成長の証であるコブが所々に生じるほど強い生命力を維持しています。車に乗ったままでも、その力強い姿を車窓から眺めることができますが、せっかくなら数分歩いて間近で目にしたいものです。
スタッフのおすすめPoint!
数時間の登山の末、やっと見ることができる屋久杉(屋久島の標高500m以上・樹齢1000年超の杉の総称)が多いなか、車で手軽に観賞できるのが紀元杉の魅力。樹高約19.5m、胸高周囲約8.1mの紀元杉にはたくさんの植物が寄生していて、春にはヤクシマシャクナゲの花、秋にはナナカマドの紅葉を樹上に見つけることができ、四季を通じて楽しむことができます。駐車場近くには名水「紀元命水」が湧き出ています。
No.02 千尋の滝
高低差の大きな地形と、日本でもトップクラスの降水量が特徴の屋久島では、島内のあちこちで大小の滝を目にすることができます。なかでも最大クラスの規模をほこるのが、この千尋の滝。一尋とは、人が一人両手を広げた程度の長さを表す昔の単位ですが、その千倍、千人もの人が手をつないだほどの大きさというのが、この名前の由来。南側の高台が展望台になっており、そこから気軽に見学することができます。
スタッフのおすすめPoint!
島の中央部から南東方向へと流れる鯛之川の途中にあるのがこの「千尋の滝」。落差約60m、V字谷へと注がれる流水が、滝壺で砕かれ水煙となって花崗岩の岩肌を這い上がっていく姿はまさに圧巻のひとこと。雨が降った後などは水量も増えるので、さらに迫力の景観を見ることができます。展望台からの景色は、滝から少し離れるため「水の迫力」という点では多少見劣りしますが、一枚岩や遠く海を望む雄大な景色は一見の価値ありです。
No.03 中間ガジュマル
「ちゅうかん」ではなく「なかま」。屋久島の南西部、中間川の下流域に自生するガジュマルの木です。一本の幹から無数の根が伸び、網目状の壁やアーチを作り上げるのがガジュマルの特徴ですが、ここでは根が作り出したアーチの下を舗装された道が通るほどの規模に広がっています。このトンネル状になった道は、記念撮影の人気スポットになっています。
スタッフのおすすめPoint!
中間川の河口近く、中間集落のほぼ中心にあり、テレビドラマのロケ地としても知られています。島内に数あるガジュマルのなかでも有数の大きさで、樹齢は300年超ともいわれています。一本の幹から無数の気根束が伸びて絡まり合う姿はとても美しく幻想的で、町の文化財(天然記念物)にも指定されています。近隣には「屋久島フルーツガーデン」(入園料大人500円)があり、約1600~2000種類の熱帯植物が観察できます。
No.04 永田いなか浜
海沿いの多くを急な崖が占める屋久島において、貴重な砂浜といえるのが北西部に位置する永田いなか浜。砕けた花崗岩が混じった白い砂浜と、東シナ海の青い海のコントラストが実に見事です。島の西側に位置しているため、西の空に沈んでいく夕日を見る絶好のスポットでもあります。さらに絶滅の危機に瀕したアカウミガメの産卵地としても注目を浴びています。
スタッフのおすすめPoint!
絶滅の危機に瀕しているウミガメですが、屋久島では毎年数千頭が上陸すると言われています。中でも永田いなか浜は日本でも屈指のウミガメの産卵地と知られ、ラムサール条約にも登録されています。ウミガメが産卵のために上陸するのは例年5~7月。ピーク時には体長1m以上のウミガメを20頭以上も間近で見ることができます。産卵後は、2カ月程でふ化します。8~9月には、子ガメが海に帰っていく場面に出会えるかもしれません。
No.05 吉田集落
屋久島の北西部にある平家の落人伝説が残る古い集落です。鎌倉時代からの由緒あるこの集落、周囲は花崗岩でできた急な崖で囲まれているだけでなく、集落内の各所にも家ほどの大きさがある花崗岩の巨石が点在しています。おもな産業は近海で採れたゴマサバを材料にした鯖節。県道沿いにある鯖節工場で毎日生産、出荷されています。
スタッフのおすすめPoint!
壇ノ浦の戦いに敗れ、屋久島へと逃れた平家一族が最初に上陸したといわれているのがここ吉田地区。そのため「屋久島最古の集落」と語り継がれています。集落の至るところに巨石が点在し、特に「祀りの大岩」は、集落の真下にある砂浜の海水で身を清め、この大岩に合掌し、神社へと参拝していたとされるほど、由緒ある巨石です。大きな岩をくり抜いて水を溜め、焼いた石を使って湯を沸かして入る「トンボレ(瀬風呂)」も名物のひとつ。ぜひ体験してみては。
No.06 屋久島観光センター
登山やエコツアーのプランニング、ホテルや民宿、キャンプ場といった宿泊先の手配、バスやタクシー、レンタカーの利用など、屋久島観光に関する様々な便宜を図ってくれるのが、屋久島観光センター。屋久島の特産品の数々を取り揃えた「やくしま市場」も併設。到着直後に宿泊や交通のプランを練り、帰る直前に立ち寄ってお土産を確保。屋久島観光はここで始まり、ここで締めを迎えます。
スタッフのおすすめPoint!
屋久島観光に関するさまざまな情報収集ができるうえ、登山用具やアウトドア用品のレンタルもできます。1階の「やくしま市場」では名物のトビウオを使ったラーメンやかまぼこ、はんぺんをはじめ、屋久島の特産品5000点以上の商品を販売。なかでもお土産としておすすめなのは、屋久杉を使った工芸品。金属とは違う温かな風合いのスプーンや食器類は人気があります。超軟水で知られる屋久島の自然水を使って造る芋焼酎もおすすめの商品です。
No.07 白谷雲水峡
屋久島の北部を流れる白谷川が作り出した渓谷です。屋久島で多く見られる花崗岩の巨石が深く苔むし、そこから屋久杉や各種照葉樹の原生林が広がっています。屋久島の観光拠点である宮之浦から、路線バスや車で気軽にアクセスが可能。高低差のある遊歩道を1~6時間程度で周回するコースが人気です。屋久島特有の小さなシカ・ヤクシカの姿も、時折目にすることができます。
スタッフのおすすめPoint!
樹齢3000年を超える弥生杉をはじめとする屋久杉が残り、多彩な滝や苔むした原生林が織りなす太古の森は映画「もののけ姫」の舞台としても有名です。標高約1000mの太鼓岩からは、九州最高峰の宮之浦岳や屋久島の奥岳など、雄大な景色を一望できます。最短で約1時間の初心者向けの散策コースもあり、子供から高齢者まで幅広く、年間を通して散策を楽しめるのも魅力です。特に混雑が予想される大型連休などは、人の少ない早朝に訪れるのがおすすめです。
No.08 ヤクスギランド
屋久島のほぼ中央部、標高1000~1300mに広がる自然休養林です。約270haの広大な森には4つの見学コースが設定され、時間や体力に応じたプランの元、屋久杉をはじめとする大木を見ることができます。お手軽に楽しみたければ、整備された歩道を歩く30分コース。本格的なトレッキングを体験したければ、数々の巨木や銘木が林立する最奥部も通る150分コースが、それぞれオススメです。
スタッフのおすすめPoint!
多種多彩な屋久杉を観賞できる島内随一の森。樹齢約1000年の仏陀杉や天柱杉などの巨大な杉から、双子杉やくぐり杉などのユニークな名が付けられた杉などを見ることができます。初心者向けでは30分と50分の散策コースがおすすめです。80分・150分のコースは登山道になるため、十分な装備が必要となります。小川が流れる森には、ヤクシマザルやヤクシカなどの動物をはじめ、ヤクコマドリなどの鳥類、昆虫など豊かな森の生態系が残っています。
No.09 大川の滝
「おおかわのたき」ではなく「おおこのたき」と読みます。屋久島の西海岸沿いを走る鹿児島県道78号線よりほど近い位置にある落差88mの滝です。滝壺の真下まで歩いていける絶妙な地形と、豪快に流れ落ちる見事な流れは、日本の滝百選に選定されたのも納得の景観を作り出しています。滝の水しぶきを浴び、天然の涼を取るのに絶好となる、夏場の散策がオススメです。
スタッフのおすすめPoint!
滝の水量と滝幅の広さは屋久島の中で最大級といわれています。エメラルドグリーンの透明度が高い滝壺には、ボウズハゼやヨシノボリナなどの淡水魚が多く生息し、水鳥も訪れます。近くには名水百選(環境省選定)に選ばれた「大川湧水」があり、飲むと健康になれるという言い伝えもあります。6~7月の梅雨の時期には滝の水量が増して、豪快な流れを見ることができます。滝壺まで近づけるので、濡れてもよい服装と歩きやすい靴で訪ねましょう。
No.10 西部林道
屋久島の西側、粟生集落と永田集落を結ぶ県道77号線、その通称が西部林道です。約20km、所要時間約70分にわたって人家のない道が続くその道中では、青い海と緑の生い茂る山の景観を車窓から楽しめます。海岸沿いから標高1000m近くの山沿いまで含まれる急峻な道のため、低地から高地にいたる植生の垂直分布を直接目にすることもできます。
スタッフのおすすめPoint!
シイやカシなどの照葉樹林やガジュマルなどの熱帯性の樹木が根を張りめぐらせている巨木の森は、まさにジャングルそのもの。ヤクシマザルやヤクシカなどの野生動物の貴重な住処となっていて、道路などで遭遇することもあります。人気のない道が続くので、道の両側に続く木々のアーチをくぐりながら、車で通り抜けするのがおすすめです。また、海岸沿いの道路のため、途中に点在する海を見下ろす絶景スポットも。夜間は通行禁止のため注意しましょう。
秘境のイメージもありますが、島内には空港もありアクセスは良好。鹿児島空港から1日6便が就航(所要時間約35分)しています。
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