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大分の素敵な地獄
いまでこそ観光地として親しまれている、別府温泉の「地獄地帯」。「別府地獄めぐり」なんて呼ばれて、観光の定番ルートとされているこの地ですが、かつては忌み嫌われた土地だったそう。噴気、熱泥、熱湯などが噴出するのに加え、人を拒絶するかのような特異な景観。今でこそ「珍しい」「美しい」などとされますが、昔の人々にとっては、恐ろしいものだったのでしょうね。
例えばこの、コバルトブルーが美しい「海地獄」。アマゾン原産の大きなハス、オオオニバスが茂るオアシスのような見た目と裏腹に、泉温は摂氏100度近くなのだそう。
真っ青に澄んだ美しい源泉の中では、その高温を利用して、温泉たまごが作られているとのこと。売店で購入して、食べ歩きしながら地獄めぐりを楽しむのも良いかもしれませんね。
もうひとつご紹介するのは、「鬼石坊主地獄」。国の指定名勝とされている「海地獄」「血の池地獄」「龍巻地獄」「白池地獄」と比べると知名度が低いかもしれませんが、明治以降「坊主地獄」という名で親しまれ、一度閉鎖されるも、名前を現在の「鬼石坊主地獄」と改めてよみがえった名所です。
灰色の熱泥がごぼごぼと沸騰する様子はかなり不気味。泥の中から妖怪でも出てきそうな雰囲気があります。
近くには鬼石坊主地獄の温泉を利用した足湯と温泉があるので、地獄散策の疲れを癒やしてから帰りましょう。
竹灯りが照らす幻想的な城下町
大分県臼杵市といえば、国宝「臼杵石仏」。規模、数量、質ともに我が国屈指といわれる摩崖仏に語り継がれる恋物語伝説にちなみ、城下町が美しい竹灯りに照らされる美しいお祭りが、毎年11月に行われています。
竹灯籠を使った宵祭りは全国各地で開催されていますが、この「うすき竹宵」は、その先駆けとも言われる伝統的なお祭りです。
「臼杵城(跡)」や「龍原寺」などの市中の歴史ある建築物30ヶ所に設置された圧巻のオブジェや灯篭を始め、小さな路地にも竹灯籠を設置。その数はなんと、2万本にも及ぶとのことです。ボランティア団体の協力等を得て、年々作品群のバリエーションが豊かになっていっているそう。
竹灯りに照らされた幻想的な風景のなかでも、毎年特に注目を集めるのは、「真名野(まなの)長者伝説」という、臼杵市に古くから伝わる恋物語の再現行列。
皇子と恋に落ちた姫が、皇子に会うための旅の途中、嵐で命を落としてしまう。それを悼んで彫られたのがこの地にある国宝「臼杵石仏」である――。古くから語り継がれた皇子と姫の恋物語。日が暮れゆく中、姫の御霊が勅使の行列となって里帰りするのを、里人たちは竹灯りで照らし迎えたといいます。色とりどりの竹灯篭に照らされて、姫の御霊の行列が鮮やかによみがえる様は圧巻です。
臼杵市の城下町全体を舞台にした美しい「竹宵祭り」。見逃す手はありません。